新検見川 不動産屋社長経験談その1

公開日:

カテゴリー: ワイズホームのこと | 不動産のこと | 社長の気持ち  タグ:  |

「平成元年 不動産屋に入社した頃の話」


平成元年4月、世間は不動産バブルが華やかなころの話です。

以前の仕事とは畑ちがいの不動産会社に入り、やる気はあるものの

本店・支店合わせて3店舗の小さな会社でした。


そのため、研修制度などあるわけもなく、先輩たちの仕事ぶりを

耳をダンボにして、聞いておりました。

また、当時は「住宅情報誌」がリクルートから出されており

店頭にラックを出して、自由にお客様が持ち帰れるようにしておりました。


私はその「住宅情報誌」を時間があるときは目を皿のようして見ていました。

そこには、不動産の用語や知識、税金のことなどが掲載されており

少しでも不動産に関する知識を得ようと努力していました。

実務的な話は先輩たちにしつこいぐらいに聞きまくっていました。

うるさいヤツだなと思われていたかと思います。


入社してから1ヶ月ぐらいの頃から、来店されたお客様を任せて

もらえるようになりました。

ある時、他社から出ていた中古戸建てをお客様に紹介しましたところ

内見したいとのことで、案内の手配をいたしました。


週末の日曜日にお客様が来店し、私の車に同乗していただきまして

目当ての中古戸建てに到着しました。そして、物件のインターホンを

鳴らしたところ、売主のご主人さまがなぜか背広姿で出迎えてくれました。

随分、丁寧な方だなと思いました。


早速、1階からご案内です。すると、なぜかお風呂に誰かが入っている様子です。

先に他の場所を見させていただきました。しばらくすると、売主の奥様がお風呂

から出て、頭にタオルを巻いて出てきたのです。


お客様と私はびっくりしましたが、売主の奥様もびっくりした様子です。

突然、「何ですか!?」と言われたのです。

案内に立ち会っていただいた売主のご主人様が「いいから、いいから。」と

言っておりました。


不穏な空気を察した私とお客様は、その場を早々に退散したのは言うまでも

ありません。奥様はご自分の家が売り出されていたのを知らないのでした。

せっかくのご案内も無駄になってしまいました。

お客様には平身低頭謝りました。売主から依頼を受けている他社さんも

同様にしておりました。


こんなこともあるんだなと肝に命じましたが、こんなことはこれ一度きりでした。

その後、この物件はレインズ(不動産流通標準情報システム、不動産業者だけが

見ることができるサイト)から消えていました。


また、後日、このお客様が私の初めての売買契約できたお客様になっていただいたのです。

その節は誠に有難う御座います。あれから、すでに30年経過いたしました。

あの時、小学生だったお子様も40歳前後かと思うと時が経つのは本当に早いものです。

私も歳を重ねましたが、まだまだ精進します。